まちづくり地方創生少子高齢化調査

「未来の年表」

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「未来の年表」河合雅司著 2017年 講談社現代新書

ある方からこの本の紹介を受け、今度少子高齢化問題の勉強会をやる上でのテキストの一冊として、若い仲間を集めて、関係者みんなで読むことにしました。もう40万部以上売れていて、ベストセラーになっています。著者の河合雅司は産経新聞社の論説委員で大正大学客員教授、人口政策を中心に論じられている方です。

この本は最新の統計情報をベースに、日本の人口減少とそれがもたらす問題をシュミレーションしています。具体的な数字がベースになっており、その内容には絵空ごとではないリアリティがあります。人口予測というのは経済予測よりはるかに外れづらいものです。いま世界的な思想家として注目されているエマニュエル・トッドの思考も人口学がベースとなっており、彼が注目を集めたのはロシアの崩壊を予言したからでしたが、これを彼は、ロシア出生率の低下の統計データをもって予想しました。経済データなどは操作することも可能ですが、人口データはいじることが難しく、しかもその影響は長期にわたります。日本における少子高齢化は30年前からすでに想定されていたにもかかわらず、いまだに有効な対策が打てていないところに、その問題の奥深さがあります。

私が一番注目したのは、高齢化問題でとくに問題なのはこれから地方都市より大都市圏だということです。私たちは最近様々な地方自治体から少子高齢化対策の相談を受けています。いずれも地方の小さな自治体では人口減少と高齢化は大きな問題です。しかし今後さらに問題になるのは、東京をはじめとした大都市圏の高齢化です。地方都市に比べて大都市はビジネス中心に作られており、一人当たりの特別養護老人ホームも病院の数も圧倒的に足りません。これから団塊の世代が後期高齢者に突入していく中で、介護を必要にする方の数が都市部で圧倒的に増えていきます。このための受け皿をどうつくっていくかが直近の課題です。

若手のメンバーがしきりに言っていたのが、子どもを二人産んでも現状時に過ぎず、三人産まなければ人口増にならないこと、これはかなり高いハードルです。すでに議論されているように、3人産んだら1000万円出すとか、かなり思い切った施策を打つ必要があると思います。

その他、地方自治体を今後すべて維持していくのが難しいことが予想され、どうやってコンパクトなまちづくりにつなげていくかについて、いまから積極的に考えていく必要があります。これまで私たちも議論したり考えてきたことが、具体的な数字をもとに書かれており、新書でもあり、さくっと読めるわかりやすい資料として今後関係者に勧めていきたいと思います。

追記;消滅可能性自治体と指摘された8割の自治体で、人口減少のスピードが加速しているとの報道がありました。私たちもより加速してこの課題に深くかかわっていきたいと考えています。

「消滅可能性都市」8割の自治体で人口減加速(読売新聞社)